プラチナエンド 第3巻-あらすじ&感想-

プラチナエンド 第3巻-あらすじ&感想-

3人目の仲間は末期癌患者の六階堂 七斗(むかいどう ななと)。彼はメトロポリマンを殺すべきだと強く、何度も訴える。


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「死んだ人間を生き返らす」

【前巻まで】架橋 明日(かけはし みらい)が予てから恋心を抱いていた花籠 咲(はなかご さき)との同棲生活は、同じく神候補である「メトロポリマン」への対抗策を考えるという予想し得なかった展開を迎える。メトロポリマンの呼び掛けで球場に集まった、他の3名の神候補に対する虐殺行為を目の当たりにした架橋と咲は、生き残っている他の神候補を探し出して団結するという結論に至る。

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掲載:ジャンプSQ.
著者:
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第3巻 あらすじ


メトロポリマンによる神保球場での惨劇後、残りの神候補を一人でも多く探し出し、一致団結してメトロポリマンに対抗するという結論に至った架橋と咲。

その時、同じく球場に居合わせて様子を窺っていたという、もう一人の神候補である六階堂 七斗(むかいどう ななと)が咲の部屋の窓ガラスを叩く。

六階堂は末期癌に侵されており、妻と子供を残して先立たなければならないという悲嘆に暮れていたが、「知識」を司る天使である一級天使「バレ」が現れた為に神候補となる事を承諾したと打ち明ける。

その上で、最終的に「次の神」が決定する前に自分は死んでしまう可能性が高く、その前に何としてもメトロポリマンだけは殺しておく必要があると訴える。

一方、私立高校「上層学園」の生徒であり、メトロポリマンの正体でもある生流 奏(うりゅう かなで)は、他の神候補と協力するのではなく、シリアルキラー(異常な心理的欲求のもとに殺人を繰り返す連続殺人犯)を赤の矢で従わせ、他の神候補を挑発した上でぶつけるという作戦に打って出る。

その卑劣な手段に、六階堂は再三再四、メトロポリマンを殺す必要性を架橋に訴えるが…

解説と感想

はい、本3巻の表紙に描かれている男こそが、メトロポリマンの中の人(?)であります。

いわゆる大企業の御曹司であり、一見すると挫折などとは無縁のように感じるワケですが…「神候補」として天使が付いている以上は、彼には彼の「生きる事に失望する理由」があったワケです。

それが何なのかは皆さん自身の眼で確かめて頂くとして…「神候補」と、それにまつわるシステム、そして現時点で判明しているルールを少しおさらいしておきましょうか。

     【総則】
  1. 天使たちは力を失いつつある現在の神から命じられて、「次の神」の候補となる人間を選ぶ為に地上に降りて来ている。
  2. 神候補を選ぶ為に遣わされた天使の数は13羽であり、各天使が1名ずつ神候補となる人間を選ぶ。
  3. どのような人間を選んでも良いというわけではなく、生きる意味や希望を失くした者に限られる。
  4. 次の神を決める期限は、天使たちが遣わされた日から999日までである。

     【天使】
  1. 天使には階級が存在し、上から特級、1級、2級、無級という格付けになっている。
  2. 今回の神候補選びには特級から2級までの天使が参加している。
  3. 天使は神候補である人間に対して口頭による注意や教示を与える事はできるが、直接的な行為による妨害や加勢をしてはならない。

     【翼と矢】
  1. 天使は自分が選んだ神候補に対して、階級に応じた以下の道具を与える事ができる。
    特級天使は「翼」「白の矢」「赤の矢」を、
    1級天使は「翼」と「赤の矢」を、
    2級天使は「翼」もしくは「赤の矢」のどちらか一方を。
  2. 天使が与えた道具は、天使自体と同様に一般の人間には視認できない。
  3. 翼は人間の目では追えない速さで、自由に空を飛ぶ事が出来る。
    白の矢は刺された者を一切の苦痛なく、一瞬で死に至らせる事ができる。
    赤の矢は刺された者に対して33日間だけ、無償の愛情をこちらに向けさせる事が出来る。ただし、同じ相手に二度刺しても効果は発生しない。
  4. 何らかの理由で神候補が死亡した場合、その候補が所持していた道具を他の候補が(その場に居合わせていれば)譲り受ける事ができる。
  5. また、神候補が最初に天使から与えられた道具は(本人が生存している間は)他人に譲り渡す事はできないが、他の神候補が死亡した際に譲り受けた分の道具は、更に第三者に対して貸し与える事ができる。
  6. そもそも、各道具は「生きる希望」として神候補に与えられているので、次の神が決まる前に道具を天使に返還すると「生きる希望を放棄した」と見做され、その候補は死亡する。
…と、他にもまだまだ細かいルールや各道具の性能限界などがあるワケですが、物語の展開に直接は関係しない部分もありますので、この辺りにしておくとして…

本巻は、実に示唆に富んだ一冊であります。既に末期癌を患っており、残された時間が少ない六階堂は行動に一切の迷いがありません。メトロポリマンを殺す気マンマンで、自ら色んな武装を調達して来ます。

それに対して、架橋は元来的に誰とも争いたくないという優しい性格の持ち主ではありますが、それでも問答無用で襲い掛かって来るメトロポリマンのような相手に対して、どうすれば良いのか全く考えがまとまりません。

優しさとは、弱さの裏返しであるという言論をたまに見かける事がありますが、なるほど確かに人間が持つ理想や信条の大半は、自らが安全な環境に身を置いている事を前提として初めて成立するものなのかもしれません。

はたして、架橋はどこかで「大人」になる選択をするのか…それとも、若き理想を抱いたまま駆け抜けてみせるのか…これからの展開に期待です。

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