アンダーニンジャ 第1巻-あらすじ&感想-

アンダーニンジャ 第1巻-あらすじ&感想-

伝説の忍者「雲隠一族」の末裔である九郎(くろう)は、現代の高度に組織化された忍者集団の中に在っては最下層の「下忍」の位置に甘んじ、忍務(任務)の斡旋をなかなか受けられずに暇を持て余していた。


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「Я хочу СТАТЬ ниндзя.」
( 私は忍者になりたい)

プロローグ

かつて栄華を誇り、日本の歴史を裏から支えた忍者たちは、大戦後、GHQによって(財閥などと同様に)組織を解体させられて消滅したかに見えた。

しかし、元より忍者とは隠れ忍ぶ者であり、泥水を啜りながら着実に力を取り戻した今、その数は警察官や自衛官などと同じく約20万人とも言われている。そして、一部の精鋭達は海外に派遣され、国家レベルの争い事の裏で暗躍するまでに至った。

一方で、末端の忍者(いわゆる下忍)は仕事にありつけないことも多く、その一人である雲隠 九郎もボロアパートでニート同然の暮らしをしていた。

第1巻 あらすじ

伝説の忍者「雲隠一族」の末裔である九郎(くろう)は、現代の高度に組織化された忍者集団の中に在っては最下層の「下忍」の位置に甘んじ、忍務(任務)の斡旋をなかなか受けられずに暇を持て余していた。

そんなある日、突然訪れた上司(中忍)から、近隣で起きた「局部切り取り通り魔事件」が忍者組織に接触を試みようとする外国人テロリストの仕業であるらしく、これを撃退せよとの指示を受ける。

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解説と感想

さぁ、既に映画化も果たした名作「アイアムアヒーロー」の作者である花沢健吾氏が放つ期待の新作は、なんと「現代忍者」の物語です。

忍者漫画といえば、週刊少年ジャンプの看板であった国民的作品「NARUTO」があまりにも有名ですが、あちらはジャンル的に言えば「剣と魔法」を扱ったファンタジーに近い位置づけであり、正真正銘、現代社会に本当に存在していそうな臨場感を伴って描かれる作品は、これまで「ありそうで、実はなかった」というのが実情です。

鬼滅の刃 第1巻」の解説でも書きましたが、剣戟モノや忍者モノというジャンルは、ある意味で描き尽くされてしまった感があり、余程の飛び抜けた点(作画技術やキャラクターへの感情移入のしやすさ等)が無ければ読者から高い評価を得られないという難題を抱えています。

それに対して、作者の花沢氏が「分かった、徹底的にリアルに描こうじゃないか」と回答した作品が、このアンダーニンジャであると言えます。

例えば、主人公の九郎が本巻の中で何度も「体術の練習」をしている姿が描かれていますが、特別に設けられた訓練施設のような場所ではなく、普段の住処であるボロアパートの中で練習していたり、上司である中忍(加藤)が「表の職業」である宅配便業者を装って九郎にアイテムを届けた際、ちゃんと伝票への捺印を求めたりなど、現代社会の中に上手く溶け込んだ上で活動する忍者の姿を細かく描写しています。

第1巻の序章部分でさえ、このリアリティーですから、いざ戦闘シーンになったら、どれほどのクォリティーなのか…

「徹底的にリアルな忍者漫画」、今後の展開から目が離せない存在となりそうです。

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