~大正剣戟奇譚~
週刊少年ジャンプ史上に於いて、刀剣で切り結ぶ場面を主題として描かれた、いわゆる剣戟漫画は「るろうに剣心」「BLEACH」以外にも少なからず存在しました。
しかし、その二作品ほどヒットした例は記憶に無く、ある意味では、そのジャンルに挑む事は漫画家にとっても編集部にとっても「賭け」なのではないかと思われました。
特に、ここ1~2年は料理や相撲、ダンスといった「ジャンプらしからぬジャンル」の台頭が著しく、それはまるで、かつてコンピューターゲームの王道であったシューティングゲームが、年毎に彩りを増す他のジャンルに追い落とされて、遂には全く見かけなくなった過程を再現しているかの様子です。
「時代と言われればそれまでだけど…少し寂しいなぁ…」
そう思っていた矢先、本年初頭から連載が始まった「鬼滅の刃」(きめつのやいば)は、既に使われていそうで実は滅多に見かけない大正時代を舞台とし、緻密な絵柄と躍動感溢れる立ち回りを融合させた意欲作として瞬く間にファンを増やし、今や掲載順位のトップを争う存在となっています。
第1巻 ~残酷~
時は大正時代、とある山奥の寒村。
六人兄弟の長男として生を受けた少年、竈門 炭治郎(かまど たんじろう)は、亡き父の代わりに家計を支えるべく、麓の町で木炭を売り歩いて日々の糧を得ていた。
ある日、炭を売り終えて家路に着くと、そこには血まみれで息絶えている家族の姿があった。
唯一人、辛うじて息のあった妹、禰󠄀豆子(ねずこ)を医者に診せようと背負って山を駆け下りるが、妹は獰猛な「鬼」と化した状態で目を覚まし、鋭く伸びた爪と牙で兄を襲う。
そこへ、時代錯誤な「刀」を持った男、冨岡 義勇(とみおか ぎゆう)が現れ、世の中には人を殺して喰らう「鬼」が居ること、自分は鬼を殺す事を生業としていること、そして、妹は鬼の血を浴びてしまった事により自らも鬼と成り果てたことを告げる。
必死の懇願と説得により、なんとか妹を殺されずに済んだ炭治郎であったが、鬼に復讐するにせよ、妹を人間に戻す方法を探すにせよ、関わった以上は知識と力を身に付ける必要があると判断した冨岡に、ある一人の老人を訪ねるように指示される。
解説と感想
『東京喰種:re』の解説と感想でも述べましたが、未だ読んでいない人の為に極端なネタバレをしないように配慮し、なおかつ、作品の魅力を的確に伝える文章を書くのは本当に難しいものです。なので、既に本作を読んだ方から見ると「ちょっと説明が足りないんじゃない?」と思う部分があるかもしれませんが、そういった逡巡の結果ですので何卒ご容赦下さい。
さて、シリアスな展開と緻密な絵柄で確実にファン層を増やしつつある本作品。
そのシリアスな雰囲気を醸成しているのは、主人公である炭治郎自身に他なりません。
『家族を殺された主人公が復讐の旅に出る』というプロローグは、昭和の昔からマンガや特撮ヒーローの定番ではありました。
しかし、この作品の主人公は「田舎の勤勉な少年」であり、特殊な一族の末裔やら特殊なアイテムの適合者として覚醒する…といった、いわゆる「チート設定」などではなく、山奥の厳しい環境下での純然たる修行の成果として強さを獲得していく様子が、多くの読者の胸を打っています。
本巻最大の見どころは「鬼殺隊」の隊士を選抜する最終試験への参加条件として、師匠である鱗滝 左近次(うろこだき さこんじ)が提示した「岩を斬る」という試練を見事に達成した場面でしょう。
電書版検索
【次巻】鬼滅の刃 第2巻~お前が~
アニメ化決定!!
さて、この鬼滅の刃も「東京喰種:re」と同様に、ワタクシを含めた熱烈なファン達がアニメ化を待ち望んでいたワケですが…週間少年ジャンプ27号において、アニメ化が正式に発表されました!!
週刊少年ジャンプNo.27発売中!— 少年ジャンプ編集部 (@jump_henshubu) 2018年6月4日
巻頭カラーはTVアニメ化決定「鬼滅の刃」!
Cカラーは「約束のネバーランド」
「BORUTO-ボルト-」の2本立て!
さらに話題沸騰「キミを侵略せよ!」第3話目も要チェック!
今週号もぜひ、ご一読を! pic.twitter.com/yJ70YxlCiK
そして、このアニメ版…なんと!!
この機会に原作漫画と豪華声優アニメ版、両方を制覇しよう!!
関連サイト
●鬼側と人間側双方の登場人物と、「青い彼岸花」や「悪鬼滅殺」など、作中に登場する独自の用語を詳細に解説した別サイトを新設しました。●鬼滅ファンの皆さんが集まって談義する為の、スレッド式掲示板を新設しました。
余談
純粋に気になったので鬼滅1巻がどれだけ重版されてるか買って確かめて見ました。
— チロ (@chiro_waiwai) January 5, 2021
12月29日重版分が第46刷らしいです! pic.twitter.com/VmiXIQBMS4
いやはや、これは何気に、日本の出版業界史上、最大の偉業なのでは(°Д°;)!?
【次巻】鬼滅の刃 第2巻~お前が~