アンダーニンジャ 第4巻-あらすじ&感想-

アンダーニンジャ 第4巻-あらすじ&感想-

紆余曲折ありながらも講談高校への潜入を果たした九郎であったが、当然の如く、敵側の「UN」のメンバーによる警告を受ける。



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「戦って散る舞台が欲しいんだ」

【前巻まで】外国人テロリストを取り押さえた手柄を褒められる間もなく、九郎は講談高校への潜入任務の為に編入試験を受ける。しかし、同僚である蜂谷 紫音(はちや しおん)の手によって予め暗号化されたテストの回答が教室の床に記されていたものの、予期せぬトラブルで判読不能となり…

第4巻 あらすじ

予想外のトラブルに見舞われたものの、奇跡に近い形で講談高校への編入を果たした九郎は、早速、上司である加藤に呼び出されて追加の武器の配給と激励を受ける。

しかし、登校初日、学校に向かう道の途中で主事(用務員)に扮した敵側(UN)のメンバーから「無言の警告」を受ける。

学校に着いた九郎は早速、既に先行して潜入していた蜂谷 紫音、日比 奇跡 (ひび みらくる)、そして鈴木と名乗る女性忍者と合流するが、その様子を、「UN」と協力関係にある厚生労働省援護工作二課のメンバーに監視されていた。

前回の外国人テロリストの捕獲任務で九郎に出し抜かれた日比が意欲を示し、先鋒として戦うと申し出たが、事が大きくなり過ぎる事を懸念した九郎が「俺が向こうの一番強い奴を倒せば終わりだ」と制し、単身で敵側のリーダーと決着をつけるべく前に進んで行く。

解説と感想

はい、この辺りでもう一度、この「アンダーニンジャ」の舞台、並びに関係各位の構図をおさらいしておきましょうか。

主人公である雲隠 九郎(くもがくれ くろう)や同僚の「下忍」である蜂谷、日比 、そして彼等の上司である「中忍」の加藤や平(たいら)、小津(おづ)、そして更に中忍の最上位である「一等忍尉」という階級で、かつては加藤たちを率いていた佐々魔(元)隊長が所属するのは「忍者国家諜報局」(National Intelligence of NINJA)、略して「」(NIN)です。

これは、皆さんもよく存知の徳川家の「御庭番」として仕えた忍者達を源流に持つワケですが、太平洋戦争(第二次世界大戦)後、GHQ(進駐軍)によって忍者組織は(三井、三菱といった財閥と同様に)一旦、解体されてしまいます。

もちろん、組織としての忍者集団は解体されても、個々の忍者たちは官に民に紛れて生き延び、虎視眈々と再生のチャンスを窺っていました。

その再生の過程で、かつての敵国であったアメリカの組織(米軍やCIA)とも、場合によっては手を組む事を辞さない積極的な組織として生まれ変わったのが「忍」(NIN)であり、かつての連合国に対する「徹底抗戦派」として地下に潜み続け、現在の厚生労働省の協力の下に、いよいよ牙を剥き始めたのが「UNDER NINJA」(アンダーニンジャ)、略して「UN」という組織です。

【著者の花沢健吾氏による組織相関図】

では、何故、「忍」と「UN」は敵対関係にあるのでしょうか??

戦国時代まで遡った元々の忍者組織には、本来的に「国を守る」といった大義名分は(意外にも)ありません。その時々の強い権力を持った為政者たちに雇われ、その依頼の下に暗殺や諜報といった裏方仕事をしていたのが、忍者本来の姿です。

なので、「ビジネス」としての忍者組織を考えた場合、現在の「忍」のように敵国であったアメリカの組織とも(場合によっては)手を組む事は、ある意味、本来的な流れと言えます。

それに対して「UN」に身を置く事にした忍者たちは、言わばガチガチの極右勢力であり、「忍」のようにアメリカの組織と協力する事を良しとしません。現代の忍者は、あくまでも日本国を守る存在でなければならないと考えています。

また、日本政府との関係性ですが、「忍」の場合はアメリカとも手を組むという性質上、日本政府の指揮下には在らずに(少なくとも表面上は)独自に活動しているのに対して、「UN」側は政府の直接指揮下にはなくとも、厚生労働省と情報を交換して絶えず「忍」の動向を見張っています。

唯一、警察組織だけが「目の上のタンコブ」として「忍」を嫌いながらも、たまに事件解決の為の捜査協力をしてくれるので渋々と情報提供をしている…という構図になっています。

さて、解説が長くなってしまいましたが、ワタクシの個人的な感想を申し上げると…

突如、ヒロイン枠として浮上した野口さん(九郎のクラスメート)が、すんごく素直でカワイイ子なんですよねぇ…これが普通の学園モノの作品であれば、これから九郎とイロイロあるんだろうな、と思う所ですが…

しか~し!!九郎は忍者であり、その正体をバラすわけにはいかない筈です。特に、校内に主事(用務員)に扮した「UN」側の手練れが居る以上、校内は明日にでも戦場になってしまうかもしれないので、九郎にしてみても余計な人間関係を増やす事にメリットは無い筈です。

なので、案外早い段階で「さようなら」となりそうで、ちょっともったいないなぁ…と。

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