壊すべきは何ぞ

壊すべきは何ぞ

掲載:週間少年サンデー
著者:

第二巻 あらすじ

そうぼうていこわすべし 2

「そうおメアリー…何かが…来るの…?この絵の…中から…」

「父親を双亡亭に食われた」と証言して環境省管理下の病院に収容されていた緑朗は、時を前後して同じく収容されていた「幽霊ジャンボ機」の生存者、凧葉 青一(たこは せいいち)と遭遇する。
両者共に「双亡亭を壊したい」という動機が一致した結果、青一が緑朗を連れ去る形で病院から脱出する事となる。

緑朗の実姉であり、日本随一の「戦う巫女」でもある柘植 紅(つげ くれない)は、逃亡する青一と緑朗よりも先に双亡亭へと乗り込んでこれを破壊するべく、国が公募した「<双亡亭>破壊プロジェクト」に参加する決意を固める。

一方、他の参加者のような「霊能力」の類いや破壊工作の技術を持ち合わせていない務は、環境省の役人からプロジェクトへの参加を見送られていたが、過去に双亡亭の主人である坂巻 泥努(さかまき でいど)の著書を読んだ事があり、建物内部の情報に繋がる可能性を評価されて、急遽、プロジェクトへの参加を要請される。

紅を始めとする霊能者たちと、環境省配下の特殊部隊の混成チームが満を持して建物内部に突入すると、そこには「芸術」とも「罠」とも判別できない、およそこの世のものとは思えないような異様な空間が展開していた。

解説と感想


さて、あまりにも話の展開が危急過ぎて「誰が主人公なのかさえ判然としない」と第一巻の感想で述べましたが、強いて当て嵌めるのであれば、務は「からくりサーカス」の加藤 鳴海、緑朗は才賀 勝、そして紅はエレオノールのような雰囲気と立ち位置ではあります。

ところが、本作では凧葉 青一という、何の脈絡もなく別の世界線から飛び込んで来た「異次元キャラ」が登場するので、これが務や緑朗たちとどの程度関わり、どんな役割を果たしていくのかが全く予想できません。
いや、それどころか、最後まで緑朗の味方でいるのかどうかさえも判りません。

どうやら作者は、本作に関しては徹底して先の展開を予想させずに、我々読者を目の前の恐怖一つ一つにキッチリと叩き落とす所存である様子です。

個人的な感想としては、兎にも角にも、登場する霊能者一人一人の台詞や振る舞いが気持ち悪くて仕方ありませんww
「朱に交われば赤くなる」という諺がありますが、なるほど確かに「人ならざる者」と長年接し続けていれば、己もまた「人である事」を徐々に忘れて取り込まれていくようになるのかもしれません。

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