壊すべきは何ぞ
壊すべきは何ぞ
壊すべきは何ぞ
掲載:週間少年サンデー
著者:藤田 和日郎
第三巻 あらすじ
双亡亭に突入した特殊部隊員や霊能者達が、次々と我を忘れて変貌し同士討ちを始める中、訳も分からずに逃げ惑う務は廊下に掛かっていた自分の肖像画の中に引きずり込まれ、その中で不思議な絵描きの青年に出会う。
青年と別れた務は、当初は夢かと思っていたその空間は、実は自らの過去の記憶を具現化したものであり、その記憶の中でも最悪のトラウマであるという事を突き止めて、「悪意ある何か」が心に侵入してくるのを阻止し脱出に成功する。
同じく、絵の中で繰り広げられる過去最悪のトラウマの中に閉じ込められていた紅は、合流した務からの適切なアドバイスを得てトラウマを克服し、これも見事に脱出に成功する。
一方、第96代内閣総理大臣である斯波 敦(しば あつし)の案内で国会議事堂内部の「開かずの間」に案内された緑朗と青一は、そこで、今まさに双亡亭内部で務が遭遇しているのと同じ「中から手が伸びてくる絵」と対面する。
絵の中に自ら飛び込んで行った青一が「悪意ある何者か」を撃破して戻って来た事により、斯波は双亡亭に対抗できる人間(?)が青一、唯一人であると確信する。
解説と感想
本や絵の中の世界に引きずり込まれる…という展開は定番中の定番ですが、この作品がそれで終わらないのは、事象の因果関係がある程度見えてきたとしても、尚も話の全体像が掴めない部分であります。
即ち、この館の主である坂巻 泥努が何の為に双亡亭を建て、どんな最期を迎えたのか?
そして、泥努自身と絵の中の「悪意ある何者か」に、どんな関係性があるのか…
そしてそもそも、自衛隊機による空爆にも耐えたこの屋敷の「物理的な強度」は、一体、何に依って保たれているのか??
単に説明や描写が不足しているだけなのか、はたまた、伏線として後々まで引っ張る目論見なのか、第三巻になっても作者の思惑は見えてきません。
ただし、実に単純な推測として、唯一人「絵の中から自力で脱出する手段」を持っている青一が、このまま双亡亭に乗り込んで「絵」を全て破壊して一件落着…では、あまりにも単純過ぎますので、絵の中に引きずり込む展開は序章に過ぎず、すぐに第二、第三の謎と恐怖が務たち一行を襲うのではないかと思います。
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