壊すべきは何ぞ

~ 六 ~

掲載:週間少年サンデー
著者:

第六巻 あらすじ

そうぼうていこわすべし 6

「『ア・ン・キョ』わかるかしらァ?」

双亡亭内部に突入した特殊部隊を指揮する宿木は、霊能力者達の疲弊と爆破工作班の失敗という現状を受けて、全員の撤退を示唆する。
しかし、「ここで撤退する事は人間側の負けである」という務の説得により、全員の疲弊という不安を残しながらも探索を続行する事となる。

アウグスト博士の分析によって双亡亭内部の空気は「窒素」が占める割合が低いという事実が明るみになり、大量の窒素を用意する事ができれば「元人間」である亡者たちを無力化できるという結論に達するが、原因不明の通信機の不調により外部に協力を要請できぬままに、地下深くへと降りていく亡者たちの尾行を続行する。

一方、青一からの要請によって大量の液体窒素を既に手配していた斯波総理大臣は、双亡亭内部から何者かがテレパシーで窒素を要求しているという青一の報告を聞き、液体窒素を積んだ民間のトラックを双亡亭の門前に付けるように指示する。

解説と感想


さぁ、第五巻まで進展らしい進展が見られずにグダグダと続いてきたワケですが、本六巻から、いよいよ大きく局面が動き出します!
いや、それどころか、話が急に窒素云々という「科学的なる展開」になったりするものですから、きっと、大半の読者が付いて行けずにポカーンとしている状況である事は容易に推し量れますww

ここまでの大まかな流れを掻い摘んで説明すると…

そもそも、この双亡亭を建てた画家である坂巻 泥努は、青一が宇宙で遭遇した「侵略者」とは何の関係もありませんでした。
しかし、その侵略者達が青一たち「漂流者」の反撃によって撤退を余儀なくされ、その撤退先として選んだのが地球であり、双亡亭であったという事ですね。

で、双亡亭に寄宿(?)した侵略者たちは、建物内部に踏み込んできた人間を絵画の中に取り込んだ上でトラウマを蘇らせて「亡者化」させ、「ある目的」の為に延々と建物内部に穴を掘らせていた…という事になります。

しかし、ここで幾つかの疑問が浮上します。

一、侵略者の目的は判ったが、そもそも、泥努自身は何の目的で双亡亭を建てたのか?
二、本来であれば「余所者」である筈の異星からの侵略者が、双亡亭内部に留まる事を泥努自身は何故に許しているのか?そこに利害の一致があるのか?

この疑問が、今後、どのように収束するかによって、ここまでのストーリーの展開で生じた無理や矛盾が解消されるか否かが分かれるところとなるでしょう。

即ち、

一、侵略者さえ駆逐する事に成功すれば、双亡亭自体は「無害なる建築物」となるのか?
二、逆に侵略者を全て駆逐しても、泥努の亡霊(?)が居る限りは人間が絵画の中に取り込まれる現象は止まらないのか?

まぁ、こうやって箇条書きにして冷静に見直してみると…

この物語が最初から、いわゆるタイム・パラドックスの産物であるという事は理解して頂けると思います。
我々読者は、最後まで腑に落ちない「モヤモヤ感」を抱えたままになるのではないか…という事を覚悟しなければならないでしょうねww

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