機動戦士ガンダム サンダーボルト 第4巻-あらすじ&感想

機動戦士ガンダム サンダーボルト 第4巻-あらすじ&感想

ア・バオア・クー陥落により一年戦争は終結。しかし、なおもジオン残党軍は”軍神”ダリル・ローレンツが操るサイコザクの復活と、公国の再興を目論む。


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「艦内放送で お経流すな!!」

【前巻まで】フルアーマーガンダムとサイコ・ザクの一騎打ちは相討ちによる両機大破という形で閉幕したが、応援に駆け付けたジオン軍の艦隊によって、イオ・フレミング少尉とムーア同胞団の兵士たちは捕虜として拘束される。一方、リユース・サイコデバイスを開発したカーラ・ミッチャム教授は凄惨なる仲間の死を目撃して意識を失い、昏睡状態に陥る事となった。

掲載:ビッグコミック スペリオール
著者:おおたがき やすお

第4巻 あらすじ


ア・バオア・クー陥落

リユース・サイコデバイスの成功など、局所では健闘を見せていたジオン軍ではあったが、連邦軍の圧倒的な物量の前に最終防衛拠点であるア・バオア・クーでの籠城を余儀なくされ、遂には陥落の憂き目にあう。

この戦いでジオン公国を支配していたザビ家の人間が滅亡した事に伴い、ジオンは当初の共和国制に戻り、地球連邦政府との間に終戦協定が結ばれた。

これにより表面上は平和が訪れたように見えたが、依然として”義手義足の軍神”であるダリル・ローレンツと、心を病んだとはいえリユースサイコデバイスの生みの親であるカーラ・ミッチャム教授を擁し続けているジオン残党軍は、地球に逃れ着々と復興を推し進めていた。

地球へ

一方、空母ビーハイヴの仲間と共に捕虜の身となっていたイオ・フレミングは、ア・バオア・クーでの戦いで敗走を始めたジオン兵の隙を突き、仲間と共に脱出して生還を果たす。

新たに強襲揚陸艦スパルタンに編入されたイオは、新型試作機であるアトラスガンダムのパイロットを任され、連邦政府の配下ではあるものの不穏な動きを見せる、南洋同盟の極秘MS工場破壊の任務を命じられる。

解説と感想

さて、前3巻までの流れを端的にまとめると…

イオ vs.ダリル→ダリルの辛勝
連邦 vs.ジオン→連邦の大勝

となり、戦いの舞台は地球へと移り変わったワケですが…

リユース・サイコデバイスの生みの親であるカーラ教授の助手を務めていたセクストンという名の科学者が、連邦配下の自治体である南洋同盟に救出される事で、サイコデバイスの基本設計とサイコザクの実験データが丸ごと流出してしまったワケなんですね。

これにより、南洋同盟は連邦にとっても、そしてジオン残党軍にとっても驚異的な存在となり、イオとダリルの両者が南洋同盟の支配地域に侵入する事となります

で、後々に明らかになりますが、南洋同盟のボスはジオンとは別の理由で連邦に中指を立てており、それぞれの陣営の思惑が交錯するところが、本巻以降の大きな醍醐味となっていきます。

特に本4巻では、主立った登場人物と、その周囲との「関係性」がクローズアップして描かれており、激しい戦いを共に切り抜けたが故のイケイケ・ゴーゴー的(?)な連帯感もあれば、政治的、民族的な背景を持つが故のしがらみや、上司と部下ではあるものの、それ以外の感慨は全くないドライなものまで、実に様々です。

このガンダムシリーズという作品は「ロボットバトル」に分類はされるものの、最初の「1st ガンダム」から一貫して「人間が主役」なんですよね。

善も悪も、敵も味方も、笑顔も憤怒も、そして涙も等しく飲み込む戦争活劇、それがガンダムシリーズなのだと思います。

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