機動戦士ガンダム サンダーボルト 第2巻-あらすじ&感想

機動戦士ガンダム サンダーボルト 第2巻-あらすじ&感想

未熟な少年兵たちを臆面もなく実戦投入するムーア同胞団と、ダリル・ローレンツの腕を切り落としてリユース・サイコデバイスを実戦投入するリビングデッド師団。非情なる戦いの火蓋が切って落とされる。


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「彼らはモルモットじゃないのよ!!」

【前巻まで】サンダーボルト宙域に駐留するジオン軍のスナイパー部隊を攻略するべく、連邦軍所属部隊「ムーア同胞団」は切り札となる「フルアーマーガンダム」にイオ・フレミング少尉を乗せて出撃させる。その一方で、ジオンのダリル・ローレンツ曹長が所属する「リビングデッド師団」では、全く新しいMS操縦機構である「リユース・サイコデバイス」の実験が大詰めを迎えていた。

掲載:ビッグコミック スペリオール
著者:おおたがき やすお

第2巻 あらすじ


連邦軍所属のムーア同胞団は新たに派遣されてきた少年兵達を前衛に据え、サンダーボルト宙域を奪還すべく満を持してフルアーマーガンダムを出陣させる。

対して、ジオン軍リビングデッド師団の艦長であるバロウズは、完成したリユース・サイコデバイスを搭載した高機動型ザクを実戦投入する為に、同師団のエースであるダリル・ローレンツの腕を切り落とし、両手足を完全に義肢化する決断を下す。

かくして、イオ・フレミングとダリル・ローレンツは入れ違いになる形で互いの母艦を破壊し、共に帰る場所を失った状態で激突する。


解説と感想

さあ、本巻は「本当に2巻目か??」と思うほどに激しい戦闘シーンが相次ぐ、手に汗握るスピーディーな展開となります。

物資の面で、やや優勢であるムーア同胞団は、招聘した少年兵達をガンキャノンやジム、ボールに乗せて送り出し、「数」で圧倒する形で防衛線を突破していくのに対して、やや劣勢であるリビングデッド師団は残ったベテランパイロットたちの「質」で迎え撃ち、共にエース機であるフルアーマーガンダムとサイコ・ザクを相手の母艦まで送り届けます。

また、この作品は「ロボットバトル漫画」であると同時に、人間の本音を腹の底から絞り出す「ヒューマンドラマ」でもあり、特に兵士たちを戦場に送り出す指揮官の迷いや、指揮官と補佐官の間の確執、あるいは「エースのわがまま」といったものを限られたページ数の中で見事に描き切っています。

特に、本巻最大の見どころだと個人的に思う場面は、両手足を義肢化したダリル・ローレンツが、いよいよサイコ・ザクに乗り込んで出撃する際、他の乗組員総員が敬礼して見送るシーンと、数で圧倒している筈の連邦側の少年兵達がジオン側のベテランパイロットの粘り強さの前に「死」を予感して、パニック状態に陥るシーンですね。

「戦争の何たるか」が、本巻に凝縮されていると言っても過言ではありません。

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