呪術廻戦 第9巻-あらすじ&感想-

呪術廻戦 第9巻-あらすじ&感想-

優し過ぎた秀才の心が、遂に音を立てて砕け散る。全ての歯車は、この日から狂い始めた。


◎~ ~◎

「後は自分にできることを 精一杯やるさ」

【前巻まで】高専生時代の五条と夏油は、共に特級の称号を冠する「最強コンビ」として将来を嘱望されていた。そんなある日、高専の地下にて東京の基底結界を張っている”不死”の術師、天元(てんげん)の次なる肉体である”星漿体”(せいしょうたい)の護衛を命じられる。

第9巻 ~玉折~


呪術廻戦 第9巻
掲載週間少年ジャンプ
著者
評価★★★★★
”星漿体”の少女、天内 理子(あまない りこ)を狙う呪詛師たちの追手を退けた五条と夏油は、高専に天内を連れ帰る事に成功し、ホッと胸を撫で下ろしていた。

その矢先、”天与呪縛”によって「呪力ゼロ」の肉体を与えられた恐るべき刺客、伏黒 甚爾(ふしぐろ とうじ)の急襲に遭い、五条は生まれて以来、最初にして最大のピンチを迎える。

甚爾の相手を五条に任せた夏油は天内を連れて天元の下へと急ぐが、途中、「もっと、皆と一緒にいたい」という本心を吐露され、天元との同化を中止して天内を元の居場所に返す事を決意する。

しかし、次の瞬間…後を追ってきた甚爾が放った一発の銃弾を受けて、天内は命を落としてしまう。無論、甚爾がこの場に姿を現したという事は五条の敗北を意味しており、その事実に動揺しながらも、侵入者を取り逃がすという最悪の事態だけは避けるべく単独で応戦する夏油。

甚爾が次から次へと武器を取り出す「武器庫」の役目を果たしている呪霊を取り込めば勝機ありと、呪霊操術での調伏を試みたものの、既に甚爾との主従関係が成立していた呪霊を取り込む事は出来ず、返す刃に斬られた夏油は敢え無くその場に倒れる。

かくして、「最強コンビ」の二人を華麗なまでに完封した甚爾は、天内の遺体を依頼主である宗教団体「盤星教」の役員の下へ届け、悠々と帰路に着こうとしていた。

解説と感想

では、改めまして…ワタクシが最も強くオススメする呪術廻戦の単行本、第9巻を解説させていただきます!!

本巻の最大の見どころは、
  1. あの五条 悟が侵入者に対して後れを取り、敗北を喫する。
  2. 夏油 傑が一般人を守る事に辟易し、高専と袂を分かつ。
\この二点であります/
 m9(`・ω・´)ドーン

1. に関しては、過去編という事で五条の「無下限呪術」も未だ完成されていない上に戦闘の際にも無駄口が多く、青臭い印象が前8巻から引き続き描写されていますが、それに対して「盤星教」が雇った刺客である伏黒 甚爾は「プロの殺し屋」です。

五条が敵に対して実力差を見せつけた上で勝とうとするのに対して、甚爾は全ての動作が「クイック&ファスト」で無駄がありません。あまつさえ、拳銃という現代兵器まで用いるほどの合理主義であり、その場面で最も勝率の高いカードを切り続けて五条と夏油を圧倒します。

まぁ、結局は五条が瀕死状態の土壇場で「反転術式」を会得して回復し、すぐに甚爾を追いかけて第2ラウンドが始まるワケですが…この瞬間に、この世界の全ての歯車が狂い始める事に五条は気付いていません。

「世の中には、まだまだ強い奴が居るな」
「俺も、もっと強くならなきゃ!」


と、あくまでも自分中心に考える五条に対して…

「そもそも、私は何を守る為に戦っているんだ…??」

と、自身の存在理由そのものが揺らいでしまった夏油…

実に対照的であります。

そして、遂に夏油は2.の直接の引き金となった悲惨な現場に立ち会ってしまいます。一言で表すなら「おまえら、守られる立場のクセに何でそんなに偉そうなの??」という事ですね。

前8巻と本9巻は、我々読者のリアルな日常に対して、非常に痛烈な問いをブン投げてきます。
「今、あなたの目の前で笑っているように見える友人…本当に腹の底から笑ってる??」

さぁ、「天才」であった筈の五条が、たった一人の親友を失う瞬間に立ち会って下さい!!

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